１、      内面的なことをほめる

　　性格、気性、心の状態などを、優しい眼差しでみて
　　あげましょう。

ａ，内面的な長所、プラス面をほめる
　　　　（例：思いやりがあるところがいいね。
　　　　　　　 私は向上しようという気持をいつも
　　　　　もっていてすばらしいね、等）

　　　ｂ，具体的な心の状態をほめる
　　　（例：今日はあまりイライラしないで過せて、
　　　　　　そんな私っていいね。
　　　　　　　　　最近、××さんにいやなことを言われ
　　　　　　ても、カッとしないで聞き流せるように
　　　　　　なってきて、えらいね。等）

　　＜解説＞

　　　「内面的なことをほめる」ことは、このレッスンの
　　「核」になりますので、解説は少し長くなりますが、
　　　読んでくださいね。

　　　『長所のない人はいない』
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　　　　　「あなたの長所は？」と、講座や個人セッションで、
　　　私は大勢の人たちに質問してきました。そこで分かった
　　　ことは、短い単語で自分の長所を表現する人がほとんどだ、
　　　ということです。
　　　　　「明るい」「まじめ」「素直」「やさしい」「謙虚」
　　　「前向き」「正直」「几帳面」「きれい好き」「健康」等の
　　　単語が最も多いように思います。
　　　　　もう少し言葉が増えると「努力する」「好奇心がある」
　　　「家族を大事にする」「読書が好き」「正義感が強い」
　　　「がまん強い」「責任感がある」「元気なこと」などが良く
　　　聞かれると思います。長所というとこのように答えるもの、
　　　という思い込みがあるようです。
　　　　　もちろん短い言葉で表現できれば、それでいいのです。
　　　でも、これらの単語のもつイメージにが自分に当てはまらない
　　　という人たちも多いはずです。特に自己評価の低い人は、
　　　いつも自分の欠点ばかりに目を向けているので、なかなか一言
　　　で長所を言い表す言葉を見つけられません。
　　　　　「素直なところもあるとは思うけど、でも、、、、
　　　ひがみっぽい方が強いと思うし、、、。やっぱり素直に
　　　なれない時の方が多いです」
　　　　　「好きな人には優しく出来るけど、でも、、、けっこう
　　　嫌いな人には意地悪しちゃうし、、、、。なんか私って、
　　　性格悪いんです」
　　　　　という具合です。
　　　　　「欠点ならいくらでも言えますが、長所は、、、さぁ、、、
　　　一つもないです」
　　　　　という人も珍しくありません。
　　　　　では、自分の欠点ばかりを見ていて長所を探せない人は、
　　　本当に欠点だらで長所がないのか、というとそうではなく、
　　　ただ「長所を探すのがヘタ」なだけなのです。だから、探すの
　　　がうまくなればいいのです。そうすると自分の長所が良く
　　　見えてきますから、だんだん自分を認められてきて、ほめ
　　　られるようになってきます。

　　　『人はそれほどシンプルではない』
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　　　　　長所に「やさしい」と書いた人は、常に、どんな時も、
　　　だれにでも100パーセント優しくしているか、というと、
　　　そんなことはないと思います。「正直」と書いた人は、一生涯
　　　ウソを言わないということもないでしょう。
　　　　　だれでも、長所と反対の側面を持っているものだし、また、
　　　だれでも欠点と反対の側面も持っているのです。
　　　　　そこで、ノートに書く時は、欠点を見ないで、いいところだけ
　　　をピックアップします。
　　　　　もしもあなたが自分のことを、「素直さとひがみ根性が
　　　２：８」だと思っているとします。その場合は「素直なところ
　　　がある」「素直な一面がある」と書きましょう。
　　　　　もしもあなたが誰かにやさしくできるとしたら「人にやさしく
　　　できる」「やさしい面がある」「やさしさをもっている」と
　　　書きます。たとえ別な人に意地悪をしても、あなたのやさしい
　　　一面は、なくならないのですから。
　　　　　こうしてプラス面を書き出すと、たくさん出て来ると思い
　　　ますので、実践してください。

　　　『自分らしい発想を』
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　　　　　講座などで参加者に「自分のいいところ」を言ってもらうと、
　　　会場の笑いを誘うものや、ユニークなものに出会うことも
　　　あって、「なるほど〜」と面白がったり、感心したりする
　　　ことがあります。
　　　　　  決まりきった言葉にとらわれないで、「ここが私のいい
　　　ところだ」と思う部分を見つけたら、自分の言い方で、表現
　　　してみましょう。
　　　　　いくつか事例を挙げてみましょう。
　　　「気が若い」（三十代女性）
　　　　　参加者から笑いが起きました。いいことですよね。精神的な
　　　若さは、自分の可能性をフルに開くための大きな力になり
　　　ます。肉体的にも若くいるためには、気持の若さが大切
　　　らしいですし。
　　　「妻を愛していること」（四十代男性）
　　　　　大きな声で言ってくれました。しびれますね。
　　　「やりたいことをやりたい性格」（二十代女性）
　　　　　いい性格ですね。やりたくないことをがまんしてやる
　　　より、やりたいことをやることで、自分らしい生き方が
　　　見えてきます。
　　　「人にほどこしをする」（五十代女性）
　　　　　ほどこすって、最近あまり聞かない言葉ですが、「なるほど、
　　　こういう長所もあるんだな〜」と思いました。人にほどこす
　　　ことは徳を積む行為ですが、その心が豊かさを感じさせ
　　　ますね。
　　　「一つのものごとを多面的に見る」（二十代男性）
　　　ものごとの一面だけをとらえるのではなく、多面的に見る視点、
　　　もちたいものですね。
　　　「自分のことを好きになる努力をしようという気持を持って
　　　いる」（二十代女性）
　　　　　いいですね。なにごとにおいても、努力をしようという気持が
　　　実践につながり、そして成功に結びついていきます。
　　　『欠点を見直す』
　　　　　欠点だと思い込んでいることを見直してみるのも、自分の
　　　良さを認識する上で、大事なことです。ただし、「長所を
　　　探し出す」と言う視点を忘れて、「欠点探し」にならない
　　　ように注意しましょう。（これはちょっとむずかしいと
　　　感じたら、やらないでください）
　　　　　「私って冷たいんです」という言い方をよく聞きます。
　　　本人が「冷たいことが私の欠点だ」と思い込んでいると、
　　　いやだ、嫌いだ、だめだ、と否定的なイメージで固めてしまい
　　　ますので、「冷たい」ことから、プラスのイメージを引き出す
　　　のはなかなか難しいかもしれません。
　　　　　しかし、「冷たい」という一つの単語に自分を当てはめよう
　　　としないで、違う角度から見直してみると、思わぬプラス面が
　　　探せると思います。
　　　　　たとえば、「情に流されて、振り回されることが少ない」
　　　「ものごとを割り切って考えられる」「クールな視点を持って
　　　いる」「人とべたべたするより、距離を取って付き合うのが
　　　好き」「人との距離感をうまく保てる」などの長所が
　　　見えてきませんか。
　　　　　「きつい性格」というのも欠点としてよく挙げられます。
　　　しかし「きついこと」そのものは決して欠点ではないと
　　　思います。どういう時に「きつさ」を使うか、だけの問題で、
　　　もともと「きつさ」は長所だと私は思います。
　　　　　「少しくらいの困難でへこたれない」「苦しいことがあっても
　　　乗り切る力がある」「大変なことも逃げずに立ち向かえる」
　　　「不正なことと戦える」など、多くの人はこういう力をほしい
　　　と思っているのではないでしょうか。
　　　　　こんなふうに、もしもあなたに余裕があったら、欠点だと
　　　思い込んでいる部分をチェックしてみてください。

　　　『具体的な心の状態をほめる』
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　　　　　長所を探すことに加えて、日常的に自分のプラス面を受け
　　　入れ、ほめるという作業は、あなたの心を少しずつ解き放し、
　　　自己肯定の意識を「心の小箱」から引き出すのに多いに役に
　　　立ちます。やさしい肯定的な目線で自分を観察する心の習慣が
　　　ついてくれば、あとは、スイスイとレッスンが進んで
　　　行きます。
　　　　　職場で、家庭で、毎日当たり前のこととしてやっている
　　　ことを、改めて見直してほめてあげましょう。小さな事でも、
　　　ていねいに探し出してほめてあげてください。「こんなこと
　　　ほめたらおかしいな」などと思わないようにしてください。
　　　だれかがあなたを採点するわけではないのですから、他人の
　　　視点ではなく、あなた自身のあなたに対する優しい視点で、
　　　（または子どもの心に帰って）あなたをほめるのですヨ。

　　　少し例を挙げましょう。

　　　「ほめるところなど何もないとスネていた気持が消えて、
　　　自分のいいところを探している私はエライなぁ」
　　　「今週は仕事が忙しく大変だったけど、あまりイライラ
　　　しなかったのはスゴイ」
　　　「最近、あまりグチを言わなくなって、まわりに感謝する気持が
　　　出てきたことは、自分でもほめてあげたい」
　　　「職場で、いやなことを言われたけれど、けっこう立ち直りが
　　　早かった。いつもなら一週間ぐらい引きずっているのに、
　　　今回は2日くらいですんだ。たいしたもんだね。」

　　　と、こんな調子でやってください。前にも書きましたが、ここは
　　　（ａ，ｂとも）「核」になるところですから省略しないで、
　　　コツコツと続けましょう。「不思議な小箱」のふたがカチッと
　　　音を立てて、少し開いたな、と感じられてくると思います。
　　　想像するだけでワクワクしますねぇ〜。
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